オブジェクト指向のプログラミングには、独特のデザインパターンがいくつかあります。デザインパターンを直訳すると、設計様式とでもなるでしょうか。デザインパターンの有名なもののひとつにMVCデザインパターンがあります。(ウィキペディア「Model View Controller」)
macOS、iOS等のインターフェイスのフレームワーク(iOSでは、UIKit)は、このMVCデザインパターンに準拠して構成されています。なので、Controller
が名前に含まれるクラスが多数あります。特にUITableView
は、MVCデザインパターンの考え方を、強く反映したクラスとなっています。
ひとつ、質問者さんにこちらから質問してみましょう。100行あるTableViewがあるとします。このUITableView
インスタンスは、いくつのUITableViewCell
インスタンスを持っているでしょうか?「100個」ではありません。画面上に10行表示されていたとすると、スクロールを考慮してもせいぜい12個のUITableViewCell
のインスタンスを持っているだけです。データの数と、データを表示するセルの数は一致しません。Model(データ)とView(表示)を分離するという、MVCデザインパターンの基本的な考え方を、反映している結果です。
UITableView
のDelegateは2種類あります。UITableViewDataSource
とUITableViewDelegate
です。ふたつに分かれているのは、まさしくMVCデザインパターンに準拠しているからです。UITableViewDataSource
は、Model(データ)を管理しているオブジェクト(クラス)へ委譲し、UITableViewDelegate
は、Viewを制御しているオブジェクト(クラス)へ委譲します。
Protocol UITableViewDataSource
Protocol UITableViewDelegate
メソッドtableView(_:didSelectRowAt:)
が、UITableViewDelegate
のメソッドであることを確認してください。
委譲先が「Viewを制御しているオブジェクト」ならば、ここでは、SearchViewController
にするのが妥当ですが、もちろんMVCデザインパターンの準拠が絶対ということではありません。テーブルのセルをタップして、選択状態にしたら、どういう挙動をするのかを考えて、委譲先を決定するのがいいでしょう。
以下は、質問から離れて、ご提示のコードを見て、「それはちょっとまずいでしょ?」と感じたところをお話しします。
まず、以下のサンプルコードを実際に動かしてみてください。XcodeのPlaygroundで動くように書いてあります。
import PlaygroundSupport
import UIKit
class DataSource: NSObject {
let reuseIdentifier = "Cell"
var fruitsArray: [String]
/* シングルトンの定型的な書き方。*/
static let shared = DataSource()
private override init() {
fruitsArray = ["Apple", "Banana", "Candy", "Donut"]
}
/* ここまで */
}
extension DataSource: UITableViewDataSource {
func tableView(_ tableView: UITableView, numberOfRowsInSection section: Int) -> Int {
return fruitsArray.count
}
func tableView(_ tableView: UITableView, cellForRowAt indexPath: IndexPath) -> UITableViewCell {
let cell = tableView.dequeueReusableCell(withIdentifier: reuseIdentifier, for: indexPath)
cell.textLabel?.text = fruitsArray[indexPath.row]
return cell
}
}
class ViewController: UIViewController, UITableViewDelegate {
var tableView: UITableView
override init(nibName nibNameOrNil: String?, bundle nibBundleOrNil: Bundle?) {
tableView = UITableView(frame: CGRect.zero, style: .plain)
super.init(nibName: nibNameOrNil, bundle: nibBundleOrNil)
self.view.addSubview(tableView)
/* Storyboardでなく、コードを使ってViewをAuto Layoutでレイアウトする時の書き方*/
tableView.translatesAutoresizingMaskIntoConstraints = false
tableView.leadingAnchor.constraint(equalTo: self.view.leadingAnchor).isActive = true
tableView.trailingAnchor.constraint(equalTo: self.view.trailingAnchor).isActive = true
tableView.topAnchor.constraint(equalTo: self.view.topAnchor).isActive = true
tableView.bottomAnchor.constraint(equalTo: self.view.bottomAnchor).isActive = true
/* ここまで */
}
required init?(coder: NSCoder) {
fatalError("init(coder:) has not been implemented")
}
override func viewDidLoad() {
super.viewDidLoad()
tableView.register(UITableViewCell.self, forCellReuseIdentifier: DataSource.shared.reuseIdentifier)
tableView.dataSource = DataSource.shared
tableView.delegate = self
}
func tableView(_ tableView: UITableView, didSelectRowAt indexPath: IndexPath) {
print("Selected")
}
}
PlaygroundPage.current.liveView = ViewController()
UITableView
のDelegateUITableViewDataSource
の委譲先のインスタンスには、ふたつの条件があります。ひとつは、オブジェクトTable Viewが存在している間、移譲先のオブジェクトも存在していなければならないという点。もうひとつは、ただひとつだけ存在するインスタンスでなければならないという点です。これらの条件を満たすには、オブジェクト指向のもうひとつのデザインパターンである、シングルトン(Singleton)を採用するのがいいでしょう。
View(もちろんTable Viewも含みます)の画面上のレイアウトには、Auto Layoutを使ってください。使用しないと、iPhone/iPadを横向きにするだけで、レイアウトが破綻してしまうことに、早く気づいてください。