ご提示いただいた例では、gotocelldialog.ui
からui_gotocelldialog.h
が自動生成され、gotocelldialog.h
によってインクルードされます。
UIを定義しているUi::GoToCellDialog
というクラスを、その動作を実装するためのGoToCellDialog
クラスから利用するには、「継承」または「集約」のどちらかの方法で、UIのクラスを実装のクラスに取り込んでやる必要があります。両方ではなく、どちらか一方しか選べません。
そこで、gotocelldialog.h
を見てみると、次の記述があります。
class GoToCellDialog : public QDialog, public Ui::GoToCellDialog
これはクラスの継承です。さらに下の方を見ると、
private:
Ui::GoToCellDialog *ui;
これは集約です。繰り返しますが、継承か集約のどちらか一方しか使用できません。
GoToCellDialog
クラスのコンストラクタで、次のように
ui(new Ui::GoToCellDialog)
{
ui->setupUi(this);
ui
ポインタが初期化されていますが、続く3行では、
lineEdit->setValidator(new QRegExpValidator(regExp,this));
connect(okButton,SIGNAL(clicked()),this,SLOT(accept()));
connect(cancelButton,SIGNAL(clicked()),this,SLOT(reject()));
のように、ui
ポインタではなく、継承した方の未構築のUIオブジェクトに対して、初期設定をしようとしており、ここでエラーになります。
修正方法としては、まず、クラスの定義で、UIクラスの継承を止めます。
class GoToCellDialog : public QDialog, public Ui::GoToCellDialog
↓
class GoToCellDialog : public QDialog
実装側では、ui
ポインタを利用してUIオブジェクトにアクセスします。
ui->lineEdit->setValidator(new QRegExpValidator(regExp,this));
connect(ui->okButton,SIGNAL(clicked()),this,SLOT(accept()));
connect(ui->cancelButton,SIGNAL(clicked()),this,SLOT(reject()));
ui->okButton->setEnabled(ui->lineEdit->hasAcceptableInput());
別解として、集約を使わずに継承でやりたい場合、次はそのまま残し、
class GoToCellDialog : public QDialog, public Ui::GoToCellDialog
次は削除、
private:
Ui::GoToCellDialog *ui;
次も削除、
ui(new Ui::GoToCellDialog)
次も削除、
ui->setupUi(this);
次も削除、
delete ui;
以上どちらの方法でも結構ですが、最近は、集約(ui
ポインタを使う方)が主流だと思います。