RubyのcloneとdupとActiveRecordのcloneとdupは別物なのでしょうか?
同じものです。Method#owner
でメソッドが定義されたクラスが得られますが、下記のいずれも true
になります。
Piyo.new.method(:clone).owner == Object.method(:clone).owner`
Piyo.new.method(:dup).owner == Object.method(:dup).owner`
ただし、clone
の場合は initialize_clone
、dup
の場合は initialize_dup
メソッドが呼ばれます (参考: initialize_clone, initialize_dup and initialize_copy in Ruby: Jon Leighton)。
ActiveRecord の場合、ActiveRecord::Core#initialize_dup
が定義されていますので、dup
の挙動はここで変化しています。
違うとした場合、具体的にどのように違うのでしょうか?
Object#dup, clone
Object の dup, clone はインスタンス変数をコピーしますが、これは浅いコピーであり、同じオブジェクトを参照します。
例では h.name = "name"
とした時点で、@name
が異なるオブジェクトを参照するので、hc
に変更を加えても、影響がありません。
しかし、浅いコピーなので、同じオブジェクトを参照している状態で、そのオブジェクトに変更を加えると、両者に変更が及びます。
h = Hoge.new
h.name = "name"
hc = h.clone
hc.name.upcase!
n.name #=> "NAME"
ActiveRecord::Base#clone
ActiveRecord::Base の clone は Object の clone と同じです。
ただし、ActiveRecord::Base では属性を 1 つの Hash に入れて、インスタンス変数に保持しています。
clone した場合は、同じ Hash を参照することになるので、属性の変更が clone 元にも及びます。上記の 同じオブジェクトを参照している状態で、そのオブジェクトに変更を加える ケースに該当します。
ActiveRecord::Base#dup
ActiveRecord の dup は initialize_dup が定義されているので、そこに違いが現れます。
https://github.com/rails/rails/blob/master/activerecord/lib/active_record/core.rb#L382 を見ると、@attributes.deep_dup
で属性の深いコピーを作成したり、主キーを nil にする処理が含まれています。
これにより、dup 元・dup 先は異なる Hash を参照することになるので、片方の変更がもう一方に影響しなくなります。
If you need a copy of your attributes hash, please use the #dup method.と書いてあるのは深いコピーのことでしょうか?(Rubyのdupは浅いコピーなので別物になっている)
上記のように dup
は deep_dup
メソッドにより、属性の深いコピーが作成されます。
deep_dup
の実装は https://github.com/rails/rails/blob/efff6c1fd4b9e2e4c9f705a45879373cb34a5b0e/activesupport/lib/active_support/core_ext/object/deep_dup.rb です。