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rustcのバージョンは1.65.0です。

以下のコードはエラーが出てコンパイルできません。

対象のコード:

fn main() {
    test_macro! {
        12, x, y
    }

    x + y + temp;
}

#[macro_export]
macro_rules! test_macro {
    ($e:expr, $x:ident, $y:ident) => {
        let $x = $e;
        let temp = $e;
        let $y = $e;
    };
}

エラーメッセージ:

error[E0425]: cannot find value `temp` in this scope
 --> src/main.rs:6:13
  |
6 |     x + y + temp;
  |             ^^^^ not found in this scope

For more information about this error, try `rustc --explain E0425`.
error: could not compile `playground` due to previous error

ところで、このコードを入力としてcargo-expandを実行すると、次のようにマクロを展開したコードが得られます。

#![feature(prelude_import)]
#[prelude_import]
use std::prelude::rust_2021::*;
#[macro_use]
extern crate std;
fn main() {
    let x = 12;
    let temp = 12;
    let y = 12;
    x + y + temp;
}

これを読む限りはtempは(x,yと同じように)x + y + tempの部分から見えています。(そしてこれが自分が予想していた動作でもあります)

なぜ元のコードではtempが見えないのか教えてください。

1 件の回答 1

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Rust の宣言的マクロが変数名に関し、健全(衛生的)だからです。

健全なマクロ(Hygienic macros)とは、識別子が誤って捕捉されてしまう問題が起こらないことが保証されているマクロである。
—— 健全なマクロ - Wikipedia

マクロ内で導入される変数名と、マクロ呼び出し側の変数名が衝突しない。(Lispマクロの意味での衛生性)
—— Rustマクロの衛生性はどのように実現されているか(1/2) 識別子に関する衛生性

質問の例ですと、マクロのlet temp = $e;let temp = 12; に展開されますが、この時 temp はマクロ内に書かれていた識別子ですので、マクロの外の temp とは別物となります。自動的に名前を変更してくれていると考える事もできますが、cargo-expand はそれを反映して視覚化してはくれないようです。

この区別はブロックにより作られるスコープに似ています。しかし、入れ子状態が視認できるブロックとは違うので、マクロで作られた部分は「別の色で塗られている」といった説明がされるようです。

健全マクロを理解するには、マクロが展開されるたびに、マクロから展開された部分は別の色で塗られていると考えればよい。
異なる「色」の変数は、別の名前であるかのように扱われる。
—— 『プログラミングRust 第2版』 21.4.4 スコープと健全マクロ

『The Little Book of Rust Macros』でも背景色を塗り分けることで説明されています。


よって、識別子をマクロの外(使用側)から持ち込めば、質問の例でもエラーになりません。

fn main() {
    test_macro! {
        12, x, y, temp
    }

    println!("{}", x + y + temp);
}

#[macro_export]
macro_rules! test_macro {
    ($e:expr, $x:ident, $y:ident, $temp_var:ident) => {
        let $x = $e;
        let $temp_var = $e;
        let $y = $e;
    };
}

あるいは、手続き的マクロでは事情が異なると思うので、より自由に識別子を扱えるかも知れません。

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