提示された式は、パーティションのサイズのみを純粋に試算するものです。
式において、Nr
はパーティション内に格納されるCQLの行数を表します。
Apache Cassandraは、パーティションキーに紐づくパーティションを、クラスタリングカラムの値に応じて分割して格納することができます。例えば、以下のようなテーブル定義において、
CREATE TABLE events (
event_id text,
event_time int,
value text,
PRIMARY KEY ((event_id), event_time)
);
PRIMARY KEY
の定義の最初のカラム event_id
がパーティションキー、 event_time
がクラスタリングカラムとなります。
このテーブルに以下の二つをINSERTすると、
INSERT INTO events (event_id, event_time, value) VALUES ('event1', 1, 'aaa');
INSERT INTO events (event_id, event_time, value) VALUES ('event1', 2, 'bbb');
ざっくりですが、以下のようにCassandraに格納されます。
------------------------------------
| 'event1' | 1 | 'aaa' | 2 | 'bbb' |
------------------------------------
これをサイジングの式に当てはめると、
Ck
パーティションキー = 'event1'
Cs
スタティックカラム = なし
Nr
CQL行数 = 2
Cr
カラム = 'aaa' と 'bbb'
Cc
クラスタリングカラム = 1 と 2
になります。(Nv...の部分は内部保持するタイムスタンプなどなので無視して構いません。)
クラスタリングカラムがない場合、一つのパーティションには1行しか格納されないため、 式の Nr
は常に1になります。
上記とは別に、サイジングの際に重要になってくるのが、レプリケーションファクターとコンパクションのオーバーヘッドです。
レプリケーションファクターは、キースペースの定義時に設定するもので、データのコピーをいくつ持つかになります。レプリケーションファクターが3の場合は、一つのデータに対して3つコピーをクラスター内で保持するため、ノード当たりに保持するデータも3倍になります。
また、コンパクションのオーバーヘッドとは、Apache Cassandraのディスク上のデータが不変なため、マージ作業を行うために必要な領域を確保しておくことです。最悪のケースでは、保持しているデータと同じサイズの空き容量が必要です。