結論から言うとExpressibleByBooleanLiteral
は異なる目的のためのプロトコルで、あなたが所望の動作を行うためのプロトコルはSwift 3で廃止されました。
ExpressibleByBooleanLiteral
と言うのはSwiftのboolean literal(true
またはfalse
のみ)を自身のデータ型として扱えるようにするためのプロトコルです。
ExpressibleByBooleanLiteral
に適合させた型に対してはこんな書き方ができるようになります:
//`Grade`型の変数に`true`や`false`を代入したり
let g: Grade = true //(この例は本当は代入ではなく、宣言の初期化だが本当の代入もできる)
func someFunc(grade: Grade) {
print(grade)
}
//`Grade`型のパラメータに`true`や`false`を渡したり
someFunc(grade: false) //->E
あなたがご所望の機能(if
の条件部などBool
型が必要な場所で明示的な型変換を書かなくても、Bool
型の値に変換してくれる)は、古いSwiftでBooleanType
とかBoolean
とか呼ばれていたもの(Swiftのバージョンによりコロコロと名前が変わっています)ですが、Swift 3で正式に廃止されました。
Xcode Release Notes中のXcode 8.0内のSwiftの項目内を探すと("Boolean"あたりで検索してみてください)、次の素っ気ない1行が見つかります。
- The Boolean protocol has been removed. (SE-0109)
SE-0109と言うのはswift.org内のSwift Evolution(Swiftの進化)での公式提案の一つですが、Introductionのところを要約すると:
Bool
とBoolean
なんて初心者にはややこしいだけだし、元々Objective-CのBOOL
をうまくSwift側にブリッジするために考えたんだけど今はBOOL
はほとんど完璧にBool
にブリッジされちゃうし、そもそも標準ライブラリの中でも一貫した使われ方してないし(…だからもうそんなもの要らないよね。)
と言うわけで今更何かの役に立つというわけではないですが(Appleは「Swift2をサポートするのはXcode8.2が最後だから、さっさとSwift3に移行しろ」としつこくアナウンスしています)、Swift 2の時代にはこんな書き方ができたというのを紹介しておきます。(Xcode 8.2でもLegacy Swiftの設定をYESにしたプロジェクトを作れば試せます。)
enum Grade : BooleanType {
case A,B,C,D,E
var boolValue : Bool {
switch self {
case .A,.B,.C:
return true
default:
return false
}
}
}
var g = Grade.A
if g {
print("合格") //->合格
}
Swift 3の場合、あきらめて
if g.boolValue {
print("合格") //->合格
}
と書くか、逆にもっと中身を表すわかりやすい名前をつけて、そちらの方を使うと言うのが(Swift開発チームの考える)正しい使い方と言うことになるのでしょう。
enum Grade {
case A,B,C,D,E
//合格ならtrue
var passes : Bool {
switch self {
case .A,.B,.C:
return true
default:
return false
}
}
}
var g = Grade.A
if g.passes {
print("合格") //->合格
}