どの言語が homoiconic であるかについては、いろいろと議論があるようです。たしかに、Elixir には同図像性があると主張する人もいますが、その一方で、Elixir のオフィシャルなドキュメントには、"homoiconic" という言葉は出てこないようです。
同図像性の定義ですが、私には、こちらに書かれているものが分かりやすかったです。
要約すると、こうなります。
定義:
- プログラムコードを、その言語の基本データ型で表現できる言語は、「同図像性」があるという。
同図像性がある言語の利点:
- そのような言語では、コードとデータを相互に変換できる。そのため、プログラムの実行時に、そのプログラム自身が、新しいコードを生成したり、コードを変更したりすることができる。
もしこの定義に従うなら、Elixir は、以下のようにコードとデータを相互に変換できるため、同図像性があるといえそうです。
プログラムコード(テキスト表現)から、データ(AST)への変換:
iex(1)> 1 + 2 + 3
6
iex(2)> sum_prog = quote do: 1 + 2 + 3
{:+, [context: Elixir, import: Kernel],
[{:+, [context: Elixir, import: Kernel], [1, 2]}, 3]}
データ(AST)をプログラムとみなして実行:
iex(3)> Code.eval_quoted(sum_prog)
{6, []}
iex(4)> Code.eval_quoted(sum_prog) |> elem(0)
6
データ(AST)から、プログラムコード(テキスト表現)への変換:
iex(5)> Macro.to_string(sum_prog)
"1 + 2 + 3"
このように、プログラムの実行時に、コードとデータの相互変換が可能です。また、ASTはElixirの基本型で構成されていますので、普通のElixirコードが、その実行時に、新しいコードを生成することができます。
ただ、バイトコード(beamファイル)へコンパイル済みの コードから、ElixirのASTに逆コンパイルすることはできないようです。一応、beamファイルにデバッグ情報が付いている時だけ、ErlangのASTとコード(テキスト表現)までは戻せます。