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Ubunt 15.04を使っています。
どういう際に利用するかは措いておくとして、/procにある各プロセスIDの名前がついたディレクトリにある、environというファイルを、プログラミング時の環境変数取得に利用できないかと思いました。

そこで、例えば、gnome端末エミュレータから起動したシェルのPATHであれば次のように取得できることを確認しました。

$echo $$
3009
$ tr '\000' '\012' < /proc/3009/environ | grep ^PATH
PATH=/home/cul8er/bin:/home/cul8er/.gem/ruby/2.1.0/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/usr/games:/usr/local/games

念の為、実際にPATHechoで表示させました。

$ echo $PATH
/home/cul8er/jdk1.8.0_60/bin:/home/cul8er/bin:/home/cul8er/.gem/ruby/2.1.0/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/usr/games:/usr/local/games

/home/cul8er/jdk1.8.0_60/binが加わっています。つまり、/procの情報と異なっています。
調べると、過去にnetbeansを使うためにインストールしたjavaを使えるよう.bashrcPATHを設定していました。

-- /home/cul8er/.bashrc --
export JAVA_HOME=$HOME/jdk1.8.0_60
export PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH

.profileでもrubyを実行するためにPATH情報の変更がされていました。(なんでこういう違いを作ったのかは思いだせません…)

-- /home/cul8er/.profile
# if running bash
if [ -n "$BASH_VERSION" ]; then
  # include .bashrc if it exists
  if [ -f "$HOME/.bashrc" ]; then
    . "$HOME/.bashrc"
  fi
fi

# set PATH so it includes user's private bin if it exists
if [ -d "$HOME/bin" ] ; then
  PATH="$HOME/bin:$HOME/.gem/ruby/2.1.0/bin:$PATH"
fi

.profile内で.コマンドを使って.bashrcを呼び出している点に加えて、通例言われているところであれば、.profileもログインシェルから.コマンドで実行されるはずなので、.bashrcで変数をexportすれば問題なくログインシェルの環境変数として使えるはずですし、実際echoの表示がそれを裏付けているように思えます。

カレントシェルがログインシェルでなくてもサブシェルなら.bashrcは起動されるはずですからなおさらです。

それが/proc以下のenvironファイルでは.profileでの設定しか含まれていません。

man procでオンラインヘルプを読むと以下の記述しか見つけられませんでした。

/proc/[pid]/environ このファイルはプロセスの環境変数を含んでいる。 各エントリはヌルバイト ('\0')
で区切られていて、 末尾にヌルバイトがあるかもしれない。

こういうものだと現実から理解するのも悪くないですが、単純に自分が無知なままでプログラミングすると後に無用な苦労をすることも多々ありますので、.bashrcでの設定が生かされない理由を、分かるものなら知りたいです。
ヒントでもいいのでご教示おねがいします。

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  • /proc/3009/environ ではなく /proc/self/environ にした場合、/home/cul8er/jdk1.8.0_60/bin は表示されますか?
    – user9156
    2015年12月14日 23:56
  • PATHどころか中身自体が空のようでした。tr '\000' '\012' < /proc/self/environと実行しても何も表示されないので。selfの意味が分かっておらずなんともいいかねますけれども、これはこういうものなのでしょうか……
    – cul8er
    2015年12月15日 19:53
  • cat /proc/self/environ | tr '\000' '\012' | grep ^PATH とするとどうなりますか?
    – user9156
    2015年12月15日 23:57
  • 出ました。コマンドの使い方がまだまだのようです…PATH=/home/cul8er/jdk1.8.0_60/bin:/home/cul8er/bin:/home/cul8er/.gem/ruby/2.1.0/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/usr/games:/usr/local/games カレントシェルのPATHと同一です。
    – cul8er
    2015年12月16日 18:55
  • 2
    UNIX POWER TOOLS という本を読んでいると丁度/proc/selfはカレントプロセスの情報とのことだと書かれていました。ということは…これは驚きです。
    – cul8er
    2015年12月16日 21:26

6 件の回答 6

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+100

結論から言いますと、bash の場合は environ 変数を直接には使っていません(少なくとも Linux OS では)。代わりに char **shell_environmentchar **export_env というグローバル変数を使っています。

bash-4.3/shell.c

/* The environment that the shell passes to other commands. */
char **shell_environment;
           :
#if defined (NO_MAIN_ENV_ARG)
extern char **environ;  /* used if no third argument to main() */
#endif
           :
int
main (argc, argv, env)
     int argc;
     char **argv, **env;
           :
shell_environment = env;

bash-4.3/variable.c

/* An array which is passed to commands as their environment.  It is
   manufactured from the union of the initial environment and the
   shell variables that are marked for export. */
char **export_env = (char **)NULL;

bash プロセスの開始時に shell_environment 変数(の内容)から export_env 変数(の内容)を作成しています。その後は bash 内部で export 関数を実行すると、export_env 変数のみが変更されます。

gdb で bash プロセスの内部を調べてみます。

$ echo $$
11013
$ echo $PATH
/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...
$ export PATH=/usr/games:$PATH; echo $PATH
/usr/games:/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...
$ cat /proc/$$/environ | grep -z ^PATH
PATH=/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...

$ sudo bash -c 'echo 0 > /proc/sys/kernel/yama/ptrace_scope'
$ gdb -p $$
(gdb) p *environ
Cannot access memory at address 0x0

(gdb) call strlen((char *)shell_environment)
$24 = 244
(gdb) p $24 / sizeof(char *)
$25 = 61
(gdb) p ((char **)shell_environment)[0]
$41 = 0xbff63956 "BC_ENV_ARGS=-l /home/nemo/.bc"
(gdb) p ((char **)shell_environment)[$25-1]
$42 = 0xbff63fe7 "TERM=xterm"
(gdb) find $41,$42,'\0','P','A','T','H'
0xbff63c17
1 pattern found.
(gdb) p $_+1
$44 = (void *) 0xbff63c18
(gdb) x/s $44
0xbff63c18: "PATH=/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:..."

(gdb) p ((char **)export_env)[24]
$50 = 0x8e76408 "PATH=/usr/games:/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:..."

ここで、shell_environment 内の PATH 環境変数を変更してみましょう。

(gdb) set {char}($44+22) = 0
(gdb) x/s $44
0xbff63c18: "PATH=/usr/local/go/bin"

$ cat /proc/11013/environ | grep -z ^PATH
PATH=/usr/local/go/bin

元に戻します。

(gdb) set {char}($44+22) = ':'
(gdb) x/s $44
0xbff63c18: "PATH=/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:..."

$ cat /proc/11013/environ | grep -z ^PATH
PATH=/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...

shell_environment の実体は environ なので当然ではありますけれども。

参考情報: Linux/fs/proc/base.c:environ_read()

追記

余談ですが、要は対象の bash プロセスを exec してしまえば良いので、以下の様な方法で /proc/PID/environ を更新(?)することもできるでしょう(さしたる意味はないのですが…)。

$ echo $$
15231
$ echo $PATH
/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...
$ export PATH=/usr/games:$PATH; echo $PATH
/usr/games:/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...
$ cat /proc/$$/environ | grep -z ^PATH
PATH=/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...

## Bash's exec function
$ exec /proc/$$/exe
$ cat /proc/15231/environ | grep -z ^PATH
PATH=/usr/games:/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...

## Call execvpe in GDB
$ gdb -p 15231
(gdb) call execvpe("/bin/bash", (char **)0, export_env)
process 15231 is executing new program: /bin/bash

$ cat /proc/15231/environ | grep -z ^PATH
PATH=/usr/games:/usr/local/go/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:...
1
  • 4
    補足すると、bashプロセスでは最初にshell_environmentの内容から、shell_variablesで指すハッシュ表を作り、以後は環境変数を含むシェル変数はそのハッシュ表で管理します。exportを実行すると、そのハッシュ表のエントリーにatt_exported属性が付きます。それと並行してexport_envが管理されていて、外部コマンドの実行時などにshell_variablesをもとに更新されます。execveシステムコールには、このexport_envが渡されます。
    – emasaka
    2015年12月15日 23:06
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(fumiyasさんへのコメントにしようとしたら、reputationが低くてコメントできないので、回答で…)
親から渡ってきた環境変数は、スタックの先にあってプロセスから参照できるし、カーネルからも見えて、それをカーネルは /proc/$$/environ として見せているわけですが、
子プロセスに渡す環境変数は、execve(2)システムコールの第3引数で渡す文字列配列に過ぎないわけで、カーネルから見ると、プロセスのメモリ空間にある文字列配列のどれが環境変数なのかは分からないからですね。
普通はグローバル変数 char **environ; の指す先がそれなので、実行ファイルのシンボルテーブル調べてその先を見るとかすれば分かることが多いわけですが(でも execve(2) に渡す引数がこれだという保証はない)、カーネルはそこまでは調べません。

3

/proc/PID/environ は、そのプロセスが起動したときの環境変数が保持されているのだと思います。
bash の場合、起動後に .bashrc や /etc/profile.d/*.sh などで PATH が変わっても、/proc/PID/environ の値は変わらないのではないかと。

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  • 1
    ltrace(1) で観測してみたところ、bash は export PATH しても setenv(3) などはしないようです。zsh は setenv(3) していましたが、/proc/<PID>/environment にも GDB で show environment PATH しても反映されませんでした。どうやら、そういうものらしいですね。(カーネルや libc 依存?)
    – fumiyas
    2015年12月15日 6:09
3

有益情報かどうかわかりませんが。

http://mattn.kaoriya.net/software/linux/20151215205348.htm

gdb を起動するので環境によっては管理者権限が必要です。

1
  • 2
    グローバル変数export_envの値を見るといいかもしれません。ただし、exportしてから1回以上コマンドを実行した後で。
    – emasaka
    2015年12月15日 13:30
2

すでに完全な回答が示されましたが、それを補足する証拠を後学のために残しておきます。
今手元でps axlfを実行し、プロセスのツリー階層を調べたところ以下の構造になっておりました。(無関係な部分は省いて抜粋してあります)

992  /usr/sbin/lightdm
1356   \_ lightdm --session-child 12 19
1557       \_ /sbin/upstart --user
2199            \_ /usr/lib/gnome-terminal/gnome-terminal-server --app-id
2921                 \_ bash

左端の数値がプロセスIDです。
これらを上から順に調べると、
lightdmが起動した時点でのPATH/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/binでした。ログイン前なのでこれは当然ですよね。
次にlightdm --session-child 12 19が起動するときもPATHに変更はありません。

これが/sbin/upstart --userを実行した時点で/home/cul8er/bin:/home/cul8er/.gem/ruby/2.1.0/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/usr/games:/usr/local/gamesと変わっていました。
つまり、upstartexecされた時点では既にログインが完了しており、lightdm --session-child 12 19起動後に.profileの実行があったことが示されています。

.profileが実行されたとき、呼び出し元でBASH_VERSIONを設定しさらに.コマンドで呼び出されなければ.bashrcが実行されないことは.profileの内容から明らかですが、すでに見ている結果から考えるとこの時点でBASH_VERSIONの設定はなかったものと考えられます。

一応lightdm(ver.1.7.12)のソースコードを調べてみましたが、BASH_VERSIONという記述そのものがありませんでした。
C言語で書かれており、.profileを実行するのに相当する箇所を探してもみましたが力不足で分かりませんでした。
基本的にはlightdm.cの1205行目に

return session_child_run (argc, argv);

という記述があり、これが結果的に/sbin/upstart --userというプロセスの起点担っています。
session_child_run()自体の定義はsession-child.cというファイルに記載があって、PAMを用いた認証後に

execve (command_argv[0], command_argv, pam_getenvlist (pam_handle)); (700行目)

で子プロセス(/sbin/upstart)の起動につなげているようです。
(詳しいところまで調べきれなかったので間違っていたらすみません。もし分かる方がいらしたらご指摘おねがいします。)

こうした経緯の後、最後にgnome端末エミュレータを介してプロセスID2921のサブシェルが起動されています。
このときに.bashrcが読み込まれ、質問時の状況が生まれたと理解できました。


追記
BASH_VERSIONの部分に関して解釈の間違いを指摘いただきまして、修正およびその部分の調査結果を追加しました。(12/17)

2
  • BASH_VERSION は環境変数ではなく、シェル変数かと。
    – fumiyas
    2015年12月16日 1:42
  • ご指摘ありがとうございます。ということは、その箇所についてはもう少し確認しないと駄目のようですね....profileが実行されているのに.bashrcが実行された形跡がないのが理解できてない謎として残っていたので。
    – cul8er
    2015年12月16日 1:52
0

質問についているコメントを見ていただくとわかりますが、/proc/id/environ の内容はそのプロセスが作成されたときの情報であるのに、/proc/self/environの内容はまさに今のカレントプロセスの情報となっていることに関して、それの理由についての言及がないままとなっていました
Unix&Linuxという、StackExchange系のサイトに情報があったので後学のために紹介して終わりにしようと思います。
How is /proc/self implemented in Linux?

答え1

The proc filesystem is entirely virtual, and is implemented so the
internal VFS readlink delegates to the right place for special
symlinks. So, it calculates what self points to when it is read /
traversed, not every context switch.

答え2

Files in /proc are not stored on a disk, they are generated on the fly
by the kernel. (中略) The contents of the /proc/self symbolic link is
generated by a function that fills a buffer with the pid of the
calling process.

厳密な訳は難しいので概要を書きますと、Procfs(Procファイルシステム)自体が仮想のファイルシステムであり、/proc/selfリンクが指すディレクトリの内容はリンクがアクセスされるたびにカーネルレベルで逐一作成されるということだそうです。
この説明だと異なるユーザーが/proc/selfを同時にアクセスしたらどうなるのか興味のあるところですが、https://www.kernel.org/doc/Documentation/filesystems/proc.txtによれば

The link self points to the process reading the file system.

selfリンクはProcfsを読もうとするプロセスそのものを指すと書いているので、仮想的に全ユーザーにそのように見えるものを提供しているみたいです。
※正直に言うと、これの検証の仕方が分かりませんorz

事実に反する点などありましたらご指摘お願いします。

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