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Visual Studio 2015 Community EditionのMFCでwin32ダイアログベースアプリを作成していて、release版でのddx_textの不可解な挙動に困っています。Debug版では正常に見えます。
以下、double変数を表示するエディットボックス3個と更新用ボタン1個をもつアプリをbugcheck.exeとして、挙動を説明します。

アプリ起動直後、エディットボックスにはdouble変数f1, f2, f3の初期値が表示されます(f3は0)。
f2のエディットボックスに0を入力するとその表示は0になります。
しかしその後ボタンを押してダイアログをUpdateData(false)すると、f2とf3の表示値が5になります。(入れた場所と数字で若干バリエーションあり)
どうやらDDX_Text(pDX, IDC_EDIT1, m_f1)等の第三パラメーターに0を入れると結果がおかしくなる場合があるのではないかと辺りを付けましたが、0を使わない訳には行かないので、困っています。

以下bugcheckについて、自動生成部分からの差分相当のコードを示します。

--bugcheckDlg.h--

class CbugcheckDlg : public CDialogEx
{
略
public:
double m_f1;
double m_f2;
double m_f3;  // Read only
afx_msg void OnBnClickedButton1(); //Update controls
afx_msg void OnEnChangeEdit1();
afx_msg void OnEnChangeEdit2();

}

--bugcheckDlg.cpp--

CbugcheckDlg::CbugcheckDlg(CWnd* pParent /*=NULL*/)
: CDialogEx(IDD_BUGCHECK_DIALOG, pParent)
, m_f1(1.5)
, m_f2(0.1)
, m_f3(0.0)
{
m_hIcon = AfxGetApp()->LoadIcon(IDR_MAINFRAME);
}

void CbugcheckDlg::DoDataExchange(CDataExchange* pDX)
{
CDialogEx::DoDataExchange(pDX);
DDX_Text(pDX, IDC_EDIT1, m_f1);
DDX_Text(pDX, IDC_EDIT2, m_f2);
DDX_Text(pDX, IDC_EDIT3, m_f3);
}

BEGIN_MESSAGE_MAP(CbugcheckDlg, CDialogEx)
ON_WM_PAINT()
ON_WM_QUERYDRAGICON()
ON_BN_CLICKED(IDC_BUTTON1, &CbugcheckDlg::OnBnClickedButton1)
ON_EN_CHANGE(IDC_EDIT1, &CbugcheckDlg::OnEnChangeEdit1)
ON_EN_CHANGE(IDC_EDIT2, &CbugcheckDlg::OnEnChangeEdit2)
END_MESSAGE_MAP()

void CbugcheckDlg::OnBnClickedButton1()
{
UpdateData(false);
}

void CbugcheckDlg::OnEnChangeEdit1()
{
UpdateData(true);
}

void CbugcheckDlg::OnEnChangeEdit2()
{
UpdateData(true);
}

--resource.h--

#define IDC_EDIT1                       1000
#define IDC_BUTTON1                     1001
#define IDC_EDIT2                       1002
#define IDC_EDIT3                       1003

--bugcheck.rc--

IDD_BUGCHECK_DIALOG DIALOGEX 0, 0, 202, 129
STYLE DS_SETFONT | DS_MODALFRAME | WS_POPUP | WS_VISIBLE | WS_CAPTION
EXSTYLE WS_EX_APPWINDOW
CAPTION "bugcheck"
FONT 9, "MS UI Gothic", 0, 0, 0x1
BEGIN
DEFPUSHBUTTON   "OK",IDOK,67,91,50,14
PUSHBUTTON      "キャンセル",IDCANCEL,121,91,50,14
EDITTEXT        IDC_EDIT1,44,31,40,14,ES_AUTOHSCROLL
PUSHBUTTON      "UpdateData(false)",IDC_BUTTON1,99,33,63,14
EDITTEXT        IDC_EDIT2,44,52,40,14,ES_AUTOHSCROLL
EDITTEXT        IDC_EDIT3,44,71,40,14,ES_AUTOHSCROLL | ES_READONLY
LTEXT           "f1",IDC_STATIC,28,34,8,8
LTEXT           "f2",IDC_STATIC,29,55,8,8
LTEXT           "f3",IDC_STATIC,30,75,8,8
END

--ソースはここまで--

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  • 挙げられていないUpdateData関数には問題ないのでしょうか?
    – sayuri
    2015年9月14日 21:23
  • 1
    0を入力した時とは限りませんが、確かに私の環境でも再現しますね。2013では再現しません。2015と2013とも同じ手順でダイアログベースのMFCアプリケーションをデフォルト設定で作成して、なるべく手作業でコードを書かずにコントロールとそれに対応するハンドラー・変数を追加しただけで、両バージョンのコードを比較してもほぼ同じ内容に見えますので、MFCのバグのように思えます。
    – alpha
    2015年9月15日 3:35

2 件の回答 2

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DDX_Text(..., double&)AfxTextFloatFormat()で呼んでいる_sntscanf_s()の動作がおかしいようです。
MFCでなくても以下のWin32コンソールアプリケーションで再現します。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <tchar.h>

int main()
{
    const int TEXT_BUFFER_SIZE = 400;
    TCHAR szBuffer[TEXT_BUFFER_SIZE] = _T("2.3");
    double d;
    if (_sntscanf_s(szBuffer, _countof(szBuffer), _T("%lf"), &d) != 1) {
        return 1;
    }
    else {
        _tprintf_s(_T("%f\n"), d);
    }
    _tcscpy_s(szBuffer, _T("0"));
    if (_sntscanf_s(szBuffer, _countof(szBuffer), _T("%lf"), &d) != 1) {
        return 1;
    }
    else {
        _tprintf_s(_T("%f\n"), d);
    }
    return 0;
}

Debugビルドでは、

2.300000
0.000000

と正常に表示されますが、Releaseビルドでは

2.300000
3.000000

と表示されます。

DDX_Text(..., CString&)で取り出して、自分でstringstream等でdoubleへ変換するぐらいしか、回避方法は浮かびません。

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  • 2
    VC++2015からランタイムライブラリはC++で全て書き直されています。scanf()もinput_processorクラスで実装されています。その際にエンバグしたんでしょうね…。
    – sayuri
    2015年9月15日 8:38
  • @sayuri 相変わらずMSは大胆ですね。 デバッガーでは途中までしかステップインできなかったのですが、手動でソースを追うと確かにinput_processorというクラステンプレートが出てきますね。 さらに追うと実際解析しているのはucrt/inc/corecrt_internal_strtox.hparse_floating_point_from_source()ではないかと思います。
    – alpha
    2015年9月16日 5:45
  • ありがとうございます。やっぱりバグでしたか。 できればMSに治して貰いたいんですけどね
    – tinc
    2015年9月16日 6:34
  • @tinc 佐祐理(=sayuri?)さんがバグ報告してくださったようです。
    – alpha
    2015年9月17日 5:01
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alphaさんの説明を読んでもう少し調べました。

char buffer[] = { '0', '\0', '1', '2', '3', '\0' };
double d;
snscanf(buffer, std::size(buffer), "%lf", &d);

とやると"0\0"を通り越して"123"をパースしてしまうようです。
この問題が発生するのはscanf()系の中でもバッファーサイズを指定するsnバージョンのようです。バッファーサイズを指定しないsscanf()などでは"0\0"で停止するため発生しませんでした。

DDX_Text()がテンプレート関数やインライン関数であればsnscanf()などを再定義する回避策もありましたがそうもいかないようで、DDX_Text()を直接再定義するくらいしか手はなさそうです。


bug in _sntscanf_sにてバグ報告がなされており、Windows 10 Build 10576で修正されていることを確認しました。(Windowsに含まれているDLLを使用する必要があるためMulti-threaded DLLでリリースビルドを行う必要があります。デバッグビルドではVS付属のDLLを使ってしまいます。)
今後、Windows UpdateでDLLの更新、VS2015 Update1等でDebug DLLやソースコードの更新が行われるものと思われます。

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  • なるほど。なんとなく前の値が残ってるっぽいなと思っていたのですが、'\0'をチェックしてなくて引数で指定した長さしか見ていないので、szBufferに残っている値も読んでしまっているのですね。 元の質問の現象は、Debugビルドではスタック上の変数szBuffer0xCCで初期化されていて、たまたま動いているだけのようです。GetWindowText()でコントロールから文字列を取ってきた後に'\0'の後ろに'3'等の値を設定すると、Debugビルドでも再現しました。 MSはReleaseビルドでテストしていない可能性がありますね。
    – alpha
    2015年9月17日 1:31

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